情報確認日:2026年10月1日
実装・費用に関する追記:2026年10月2日
「自分のゲームにぴったりのBGM、AIでぽんっと作れないかな?」
作曲サービスに雰囲気を入力して、生成ボタンをクリック。おっ、なんだかいい感じの曲が出てきた……! 制作費も抑えられたら、うれしいですよね。
でも、ここで「あれ? この曲、そのままゲームに入れて売っていいんだっけ?」と、手が止まることもあるはず。
曲を生成できることと、その曲をゲームに組み込んで販売できることは別の話です。 利用条件、公開先のルール、ゲーム内での聴こえ方。このあたりは、使う前にすっきりさせておきたいところです。
この記事では、AIで事前に生成した音声ファイルをゲームに同梱する場合のチェックポイントを、ひとつずつ見ていきます。「規約、実装、費用……確認すること多くない!?」という方も、まずは下の4項目から始めてみてください。なお、プレイ中にAIサービスへ接続して音楽を生成する仕組みについては、別途検討が必要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別作品の適法性や公開審査の通過を保証するものではありません。規約は変更されることがあるため、採用時と公開前に必ず公式情報を確認してください。
先に結論:AI生成BGMを使う前に、この4つをチェック
| 確認すること | 自分に問いかけたいこと |
|---|---|
| サービスの利用条件 | この曲を、この取得方法で商用ゲームに使える? |
| 権利と契約 | 入力した素材や出力に問題はない? 取引先の条件も満たしている? |
| 公開先のルール | AI利用の申告など、必要な手続きを確認した? |
| 実装と品質 | ゲーム内で自然にループし、台詞や効果音ともなじんでいる? |
「AIか、人間による制作か」だけで決めるより、自分のゲームが完成に近づくかどうかを基準に選ぶのもアリです。予算と制作時間も見ながら、ぴったりの方法を探していきましょう。
1.「商用利用OK」の範囲を、曲ごとに確認する
「商用利用OKって書いてあったし、大丈夫……だよね?」と、そのまま次へ進みたくなる気持ちも分かります。でもここは一度、利用するAI作曲サービスの公式規約を確認しましょう。無料プランか有料プランか、どう取得したか、他の利用者の曲をリミックスしたかなどによって、条件が異なることがあります。
例えばSunoでは、2026年9月3日から新しい利用規約とダウンロード上限が導入されました。有料プラン(Pro・Premier)でダウンロードした曲は商用利用できますが、無料プランのトライアルダウンロードは個人利用に限られます。ダウンロード上限はプランや利用方法で異なり、公式案内ではPremierでStudioを利用する場合は上限なしとされています。ゲームで多くの曲を使う予定なら、自分に適用される条件を事前に確認しておきましょう。他の利用者とのリミックスには別の制限があり、画面録音などをダウンロードの代わりにすることも認められていません。Suno利用規約
「前に読んだ記事では使えるって書いてあったのに!?」とならないよう、対象の曲に今どの条件が適用されるかを確認してください。Suno公式の変更案内
また、Udioの公式ヘルプには、音声・動画・ステムのダウンロード停止が記載されています。「サービス内で聴けるから、ゲーム用に書き出せる」とは限りません。Udio公式ヘルプ
「この曲、いつ、どのプランで作ったっけ……?」と後から悩まないためにも、曲のID、生成日、取得日、契約プラン、確認した規約を制作メモに残すところまでをセットにしておきましょう。無料で作った曲を後から有料プランで使いたい場合など、扱いがはっきりしない曲は、サービス側に問い合わせてから採用してください。
2.利用許可と著作権の問題は、分けて考える
サービスから「商用利用OK」の許可をもらえたら、ひとまず安心。これで確認は終わり……といきたいところですが、それだけで第三者の権利に関する問題がすべて解決するわけではありません。サービスの許可と第三者の権利は、分けて確認しましょう。
文化庁は、AI生成物が既存作品の権利を侵害するかどうかと、AI生成物そのものが著作権で保護されるかどうかを、別の論点として整理しています。侵害の判断では類似性や依拠性が、生成物の著作物性では人による創作的な寄与などが問題になります。文化庁「AIと著作権に関する考え方について」
「じゃあ、何を確認すればいいの?」というときは、次の4つをチェックしてみてください。
- 参考音源をアップロードするなら、AIサービスへの提供まで許可された素材か確認する。
- 既存のゲーム曲やメロディの再現を狙わず、用途・楽器・テンポ・雰囲気を言葉で伝える。
- 聴き覚えのある特徴的な旋律が出てきたら、そのまま採用せずに確認する。
- 受託制作なら、発注者やパブリッシャーのAI利用方針、秘密保持の条件も確認する。
「購入したBGM素材を、AIでアレンジしてみたい!」と思うこともあるかもしれません。でも、購入した素材にも利用範囲があります。「ゲームに使える」という許可を、「AIに入力してよい」という許可と読み替えないようにしましょう。
もちろん、人間が制作した素材でも利用規約の確認は必要です。制作方法にかかわらず、まずは何に使えて、何が禁止されているかを把握するところから。使える範囲が分かれば、次の作業にも安心して取りかかれます。
3.Steamで公開するなら、AI音楽の申告を確認する
Steamの公式資料では、プレイヤーが体験するAI生成コンテンツに、音楽や音声なども含まれます。開発中に生成してゲームに同梱するものは「事前生成」、ゲームの実行中に生成するものは「ライブ生成」として区別されています。Steamworks「Content Survey」
「画像じゃなくてBGMでも申告が必要なの?」と思った方も、音楽の扱いは公開前に押さえておきましょう。AI生成BGMをゲーム内で流す場合は、Content Surveyでの申告内容を確認してください。開発効率を上げるためだけのAIツール利用と、プレイヤーが実際に聴く生成音楽とを、同じ扱いにしないことが大切です。
なお、申告すれば「どんなコンテンツでも公開できる」というわけではありません。権利面やその他の公開条件も満たしている必要があります。
公開直前に「あれもAI、これもAI……どこまで申告するんだっけ?」と慌てるのは避けたいもの。音楽、イラスト、翻訳など、AIを使った部分ごとに制作記録を残しておくと、申告時の整理に役立ちます。
4.Unity・Unreal Engine・Godot・RPGツクールでのループ実装
「曲ができた! ゲームに入れた! よーし完成!」……の前に、実際にプレイしながら聴いてみましょう。
探索や戦闘では、プレイヤーによって同じ場面にいる時間が変わります。1回通して聴くと良くても、繰り返した瞬間に「……無音?」「ぶつっと途切れた!?」となることも。せっかくの雰囲気を活かすためにも、曲のつなぎ目まで整えておきたいところです。
繰り返し再生する設定と、自然につながるように音楽を編集することは別の作業です。 「Loopをオンにしたから大丈夫!」とは限らないので、使用するエンジンに合わせて両方を確認しましょう。
Unityの場合
Audio Sourceの「Loop」を有効にすると、クリップの終わりまで再生したあと、再び最初から再生されます。ただし、この設定だけで曲の終わりと始まりが音楽的に自然につながるわけではありません。Unity公式マニュアル
「どこから手を付ければいいの?」という方は、ループ用の区間を音声編集ソフトで整えてからUnityに取り込み、実際に確認する方法があります。イントロを1回だけ流したい場合は、イントロ部分とループ部分を別のファイルに分けるなど、再生の仕組みを工夫してみてください。
なお、MP3やAACは形式の仕様上、曲頭にわずかな無音が入ることがあり、ループの継ぎ目に隙間が生じる場合があります。ループ用の素材には、WAVやOGGを使うと安心です。
Unreal Engineの場合
Unreal Engine 5でMetaSoundsを使う場合は、Wave Playerの「Loop」で繰り返し再生を設定できます。「Loop Start」と「Loop Duration」で、ループの開始位置と長さを指定することも可能です。Epic Games公式:MetaSoundノードのリファレンス
Sound Cueを使う場合は、Wave Playerの「Looping」を確認します。公式資料では、Sound CueのLoopingノードはシームレスな再生向けではないと説明されています。同じ「ループ」でも、どこで設定するかに注意しましょう。Epic Games公式:Sound Cueリファレンス
設定できたら、ゲーム内で何周か聴いてみましょう。拍や余韻が自然につながると、それだけでプレイヤーは場面に入り込みやすくなります。つなぎ目で音が不自然に切れたり飛んだりしないか、確かめてください。
Godotの場合
GodotはWAV・Ogg Vorbis・MP3をインポートし、AudioStreamPlayerなどで再生できます。Ogg Vorbis・MP3の場合は、インポート設定の「Loop」を有効にし、「Loop Offset」で、曲末まで再生したあとに戻る位置を、曲頭からの秒数で指定できます。Godot公式:音声ファイルのインポート
WAVの場合は、Loop Modeや開始・終了位置など、別の設定項目があります。ファイル形式によって設定方法が異なり、他のエンジン向けのループ情報も自動では引き継がれません。プレビューと公開用ビルドの両方で確認しましょう。
RPGツクールMZの場合
公式の音声素材規格はOgg Vorbis形式です。ファイル内のメタデータ「LOOPSTART」「LOOPLENGTH」で、サンプル数を基準にループ範囲を指定できます。RPGツクールMZ公式ヘルプ
ファイルをOGGに変換するだけでは、自然なループ区間まで自動で作られるわけではありません。また、MZ用のループ設定が、そのまま他のエンジンでも使えるとは限らない点にも注意しましょう。
実装できたら、もうひと息。この5点をチェック
- つなぎ目を何度かまたいで聴き、無音・クリック音・不自然な切れ目がないか。
- しばらくプレイしてみて、繰り返しが耳につきすぎないか。
- 台詞や重要な効果音が埋もれていないか。
- 別の曲に切り替わったとき、音量差が大きすぎないか。
- 実際の公開先向けにビルドしても、想定どおりに再生されるか。
「曲はいいのに、台詞が聞こえない……!」というときは、BGMの音量を下げて聴き比べてみるのもおすすめです。これらの確認は、AI生成の曲にも人間が制作した素材にも共通します。なお、本記事は特定のモデルを比較・検証したものではなく、実装前の判断手順をまとめたものです。
ループ調整済みのOGGが付いた素材を使えば、このループ編集の作業はほぼ不要になり、再生設定とゲーム内での確認から進められます。
5.AI作曲と買い切りBGM素材、制作時間まで含めるといくら?
「月額これだけなら安いじゃん!」と、つい試してみたくなることもありますよね。ただ、「AI作曲サービスの月額料金」と「BGM素材の販売価格」だけを比べると、仕上げにかかる手間を見落としがちです。
生成した曲をそのまま採用できればうれしいところ。でも、「ここのメロディだけ直したい」「伴奏がちょっと大きいかも?」と調整を始めると、必要な作業は変わってきます。完成までに何をするかまで含めると、見積もりはどう変わるでしょうか。次の表から、自分に必要なものだけを拾ってみてください。
月額料金の先にある、支出と作業
| 工程 | 必要に応じて発生する支出 | 見積もっておきたい時間 |
|---|---|---|
| 生成・選別 | 作曲サービスの契約、追加クレジット・ダウンロード料金 | プロンプトの調整、待ち時間、試聴、比較、再生成 |
| メロディ・展開の修正 | 部分編集・ステム分離などの追加サービス、音源・編集ソフト | 意図とのズレの洗い出し、再生成、音の差し替え、つながりの確認 |
| ミックス・仕上げ | 必要に応じてAIマスタリング、プラグイン、外注 | 楽器のバランスや音量の調整、ゲーム内での聴き直し |
| 編集環境の準備 | 持っていなければDAW、機能追加のためのプラン変更 | 導入・操作の習得、トラブル対応、書き出し設定 |
| 入力・試聴環境の準備 | 作業内容に応じてMIDIキーボード、ヘッドホンなど | 接続設定、入力方法の習得、複数の環境での確認 |
| 実装・公開の確認 | 必要に応じて専門家への相談・外注 | ループ編集、形式変換、ビルドテスト、規約・申告の確認 |
「えっ、これ全部買うの!?」と思った方、ご安心ください。すべてを買い揃えるためのリストではありません。手持ちの環境で足りるものは追加費用ゼロ。契約プランに含まれる機能は二重に計上しないようにしましょう。生成を待つ間に他の作業ができるなら、待ち時間をすべて作業時間として数える必要もありません。
マスタリングで、メロディや展開まで直せる?
例えば「低音が強すぎる」「旋律が伴奏に埋もれている」と感じる曲なら、ミックスの見直しを検討します。一方、「この音だけ変えたい」「ボスが登場する前に曲が盛り上がってしまう」といった問題は、作曲・編曲・構成の修正として考える必要があります。
「AIマスタリングに通せば、全部いい感じになるのでは?」と期待したくなりますが、ミックスは各トラックのバランスを整える工程、マスタリングは全体を仕上げる工程です。AIマスタリングを追加すれば、メロディや展開の違和感まで解決できる、とは考えないようにしましょう。iZotope公式:ミックスとマスタリングの違い
完成したステレオ音声は、すべての楽器の音符を編集できるMIDIデータのようには扱えません。修正内容によっては、再生成、音声編集、パートの分離や打ち込み直しが必要になります。「ちょっと直すだけ」のつもりが、気づけば本格的な音楽制作に……。そうなる可能性も、見積もりに含めておきましょう。
なお、これは起こり得る修正の一例であり、AI生成曲に必ずこうした問題があるという比較結果ではありません。
DAWやMIDIキーボードは、必ず購入するもの?
「曲を1本使いたいだけなのに、機材まで買うの!?」と身構えなくても大丈夫。必須とは限りません。例えば、簡単なカットや音声編集なら無料のAudacityが使えます。また、Suno Studioにはブラウザー上での編集機能があり、MIDIコントローラーやパソコンのキーボードを使った入力にも対応しています。Suno Studio公式
ただし、独自のメロディを打ち込み直したり、複数のパートを細かく調整したりするなら、DAWや入力機器の導入も選択肢になります。マウスで音符を並べる作業が負担に感じる場合は、MIDIキーボードが助けになることもあります。ただし、その効果は作業内容や、演奏・編集にどれだけ慣れているかによって変わります。
AIによるコード生成や操作補助を使う場合も、「どの音をどう変えたいか」を伝え、結果を聴いて確認する工程は別に見積もっておきましょう。「指示して、聴いて、あれっ? とやり直して……」を何回繰り返したかは、意外と忘れてしまうもの。補助サービスの契約費だけでなく、指示・確認・やり直しにかかった時間も記録しておくのがおすすめです。
比べる単位は「生成できた曲数」ではなく「採用できたBGM」
今回の制作に割り当てるサービス・ソフト・機材費 + 時間の価値 × 採用までの作業時間
サブスクの月額料金は、他の制作にも使うなら、今回の制作に割り当てる分を決めておきます。機材も、購入時の支出と、複数の作品で使う場合の配分額を分けて考えましょう。1曲あたりで比較するなら、総費用を生成した曲数ではなく、実際に採用した曲数で割るのがポイントです。
「料金は安く済んだけど、手直しで夜が終わった……!」となると、本来ゲーム本体に使うはずだった時間も気になるところ。例えば、時間の価値を仮に1時間1,000円とし、素材を購入する場合より手直しに4時間多くかかったとします。この場合、時間分の差は4,000円。料金を2,000円節約できたとしても、時間まで含めると2,000円分の負担増になります。反対に、短時間で採用できれば、AI生成のほうが有利になることもあります。
この数字は計算方法を示すための仮定であり、実際の料金や作業時間を調査した結果ではありません。また、時間の価値は実際の支出ではなく、ゲーム本体に使える時間と比べるための目安です。
買い切り素材にも、検索・試聴・利用条件の確認・必要な編集・実装テストといった時間はかかります。どちらも同じ用途・同じ必要曲数で比べて、「自分にはこっちが合う♪」という方法を見つけてください。「AIなら必ず安い」「素材なら必ず安い」と決めつけずに比べることが大切です。
「音楽づくりもいろいろ試してみたい」ならAI生成を。「曲は選ぶだけにして、ゲーム本体をどんどん進めたい!」なら完成済みの素材を。 どちらが自分の完成を助けてくれるかで選んでみてください。場面ごとに使い分けるのもアリです。
試作と本番で音源を変える方法もあります。後から差し替える予定なら、曲の長さや盛り上がる位置に演出を合わせすぎないようにしつつ、早めに本番用の曲を検討しておくと進めやすくなります。
公開前の最終チェックリスト
- ☐ 採用する曲の商用利用条件と、正規の取得方法を確認した。
- ☐ 入力した素材の権利と、発注者・取引先の条件を確認した。
- ☐ 生成・取得の記録と、確認した規約を保管した。
- ☐ 公開先のAI申告や、その他のルールを確認した。
- ☐ ループ・音量・台詞とのバランスを、公開用ビルドで確認した。
ここまで確認できたら、公開準備もまた一歩前進です。判断が難しい項目は、サービス提供者や公開先、必要に応じて専門家に確認してから進めましょう。迷った項目だけメモしておき、まとめて問い合わせるのもひとつの方法です。
迷ったら、まずは試聴から。あなたのゲームに合うBGMを探そう
「いろいろ分かったけど、うちのゲームには結局どれが合うの?」と思ったら、まずは1場面に音楽を入れてみましょう。AIで候補を作るのも、完成済みの曲から選ぶのも、ゲームを完成させるための選択肢のひとつ。実際に鳴らしてみると、必要な音や作業が見えてきます。
SOUND AIRYLUVSでは、例えばLegendary Boss Fight Game Musicの商品ページで試聴できます。WAVに加えて、各曲のシームレスループ用OGGも収録しています。曲の雰囲気と形式を確かめたうえで、お使いのエンジンでも動作を確認してください。
「まずは無料で、どんな音楽か聴いてみたい」という方には、Free Trypack Game Musicもご用意しています。収録は5曲・AAC形式で、WAV・OGGは含まれません。 お使いのエンジンで直接使える形式かどうかは、別途ご確認ください。
BGMが入った瞬間、「おっ、ちゃんと自分のゲームになってきた……!」とわくわくすることもあるはずです。大切なのは、制作方法だけでなく、あなたのゲームに合っていること。迷ったら、まずは1場面から。気軽に試聴して、ぴったりの曲を見つけて、完成へ一歩ずつ進めていきましょう♪
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